6月25日、彼は。
「っ! 伶菜、お願いだから、俺を見捨ててくれ! 伶菜が生きてさえいればそれで良いんだ!」

腕はもう限界で今にも千切れそうだった。それでも、この手を離すことを絶対にしたくない。




「うるさい! うるさい! うるさい! 丹野くんも珀人もうるさい! 私はただ……!」





「ただ『丹野 珀人』と一緒に生きていたいだけなの!!」

 



「それ以上でも以下でもない! 私から逃げられると思わないで!」




愛する人に生きていて欲しいと願って何が悪いの。

ただ生きていて欲しいだけなのに、それすら叶わないとでもいうの?
 
もし誰かがそれを許さないというのならば、私は意地でも(あらが)ってやる。


「丹野くん! もう一度言う。私は貴方に生きていて欲しいだけ! それ以上を望んでいない!」


その時、ふと腕にかかる力が軽くなった。
 
< 71 / 75 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop