6月25日、彼は。
ゾッとしたのも束の間、丹野くんが橋の欄干(らんかん)を掴んでいることに気づいた。

私が引っ張る力と合わせて、丹野くんが橋に上がろうとしてくれている。

人生で一番力を込めて握った腕は……掴んだ腕は持ち上がって、丹野くんの身体が橋の上に戻る。
 
その安堵と同時に私は泣き喚いた。

「うわぁあああ! 怖かったぁ……本当に怖かった……!」

数十秒ほど泣き喚いた後に、私はキッと二人の丹野 珀人を睨んだ。

「どうして死のうと思ったの!?」

その問いに答えたのは珀人だった。

丹野くんは何も答えずにただ呆然とその場に座り込んでいた。
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