運命の赤い糸
 その時、ゴロゴロと響く雷の音が聞こえた。見上げると空はもう真っ黒だ。

「あー、こりゃ降るな。部活切り上げて正解だったわ。——後ろ乗れよ、急ごう」

 いつもはフニャフニャしてる北川だけど、たまにこんな一面を見せたりする。


 そういや、自転車の二人乗りなんていつぶりだろう。

 にしても、流石男子。私が一人で漕いでる時より、全然スピード出てる気がする。

「ケツ痛くねーか?」

「——なによもう。凄いな、とか思ってたとこなのに」

「え? 何が凄いって?」

「うるさい! もういい!」

「ええー、意味分かんねー」

 息も切らさず、笑いながら北川は自転車を漕ぐ。


 だが、そんな北川の快走も空しく、とうとう雨が降り出した。

「うわー降り出しちゃったか。とりあえずどこかで止まって、雨宿りするか」

 しばらく雨の中を走った後、北川はマックの駐輪所に自転車を停めた。

「傘持ってないだろ? どうする? ハンバーガーでも食ってく?」
 
「——って言うかさ、マックまでワザと自転車止めなかったでしょ」

「いや、他に雨宿り出来そうなとこ無かったじゃん。——だろ?」

 はい? 途中、オシャレなカフェがありましたけど?

 まあ、北川にはハードルが高かったかな。ここは彼の名誉のためにも黙っておいてあげよう。
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