憧れの御曹司と婚約しました。
驚き
「実は、【もこまる】の生みの親は……僕なんだ」
颯さんの言葉に、私は一瞬頭が真っ白になった。目の前に広がるもこまるだらけの部屋、その中心に立つ颯さんの姿が、まるで夢の中のワンシーンのように現実感を失わせた。
「え、颯さんが……もこまるを!?」
声が裏返ってしまった。驚きすぎて、思わずデスクに置いてあったもこまるの試作ぬいぐるみを手に取ってしまった。ふわふわの手触りと、特徴的な丸い目が、いつも見ているもこまるそのものだ。
「そう。【morita】のブランディングの一環で、僕が企画してデザインした。最初は子供向けのマスコットとして考えたんだけど、気づいたらこんなに人気になってね」
颯さんは少し照れくさそうに笑いながら、部屋の壁に貼られたもこまるの初期スケッチを指差した。そこには、今のふわっとしたデザインに至るまでの試行錯誤の跡が描かれていた。色鉛筆で描かれたラフな線や、付箋に書かれた“もっと丸く!”“癒し感アップ!”というメモが、なんだか颯さんの意外な一面を見ているようで胸がドキドキした。