憧れの御曹司と婚約しました。



「この花びらのデザイン、君らしいな。優しくて、でもちゃんと目を引く」
 颯さんがスケッチを指でなぞりながら言う。私は照れながらも、つい身を乗り出した。
「でしょ? 桜の花びらをイメージしたんだけど、ちょっとハートの形も入れて、愛らしい感じにしたかったの」

 颯さんが私のスケッチに手を重ねて、鉛筆で花びらのラインを少し修正した。そのとき、彼の指が私の手に触れて、私はまたドキッ。颯さんも一瞬手を止めたけど、すぐに何事もなかったように続けた。


「このライン、こうするともっと柔らかく見える。どうかな?」
「とても可愛いです」


 私は興奮してスケッチを見つめたけど、心の中ではさっきの感触がまだ残っていて、なんだか落ち着かない。颯さんはそんな私の様子に気づいたのか、ニヤリと笑った。


「日和子、顔赤くなってる。僕の手が触れただけで照れてる?」
「ち、違います! ただ、ちょっと、部屋が! 部屋の中が暖かいだけ!」
 私は慌てて否定したけど、颯さんはますます楽しそうに笑った。その笑顔があまりにも無邪気で、いつもはクールな社長のイメージとは全然違って、なんだか胸がキュンとした。


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