一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
「あの、私に頼みたいことって……何ですか?」

緊張でカップを握る手が少し汗ばんでいた。

思い切って問いかけると、聖さんは一瞬黙り込み、やがて真剣な眼差しでこちらを見つめてきた。

「そうだね。実際に会って、思った以上にしっかりした人だから言うけれど……」

落ち着いた声が、妙に胸に響く。

次の言葉を待っていると、彼ははっきりと言った。

「一晩だけ、僕の妻になってほしい」

ドクン、と心臓が大きく跳ねた。

「つ、妻って……」

思わず声が裏返る。

恋人とか、付き合ってほしいとか、そういうことならまだ理解できる。

だけど“妻”だなんて。

「妻として、社交パーティーに一度だけ出て欲しいんだ。」

「社交パーティーって……彼女とかなら分かりますが……」

小さな声で言うと、聖さんは首を横に振った。

「彼女だと、インパクトが薄いんだよ。」

その真剣さに、冗談ではないと悟る。背筋が粟立ち、言葉を失った。
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