一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
ふとドレスのタグに目を落とした瞬間、息が止まった。

「……えっ⁉」

桁が違う。一か月のお小遣いが一瞬にして無くなる。

慌ててその紺色のドレスをラックに戻す。

「どうした?」

聖さんの低い声に、私は顔を上げる。

「……買えません。」

視線を逸らす私の横で、聖さんは値札をちらりと見やり、「ああ」と軽く頷いた。

(ああって……どういうこと!? こんな高いもの、どうして私に?)

思わず耳元で囁く。

「……あの、もっと安いところに行きましょう。」

私の必死の言葉に、聖さんはふっと笑みを浮かべた。

「俺が出すから大丈夫だよ。」

さらりと告げる声。まるで当然のことのように。

胸の奥が熱くなり、同時に妙な不安が押し寄せる。

どうしてこんなに自然に、私にここまでしてくれるのだろう。

聖さんは紺色のドレスを店員に渡すと、私を見た。

「ほら、試着してごらん。」

その言葉に逆らえず、私はドレスを抱えて試着室へと向かった。
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