一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
試着室の鏡に映る自分を見て、思わず息をのんだ。

まるで自分じゃないみたいに、紺色のドレスがぴったりと体に沿っている。

「どうだ?」

カーテンの向こうから聖さんの声。恐る恐るカーテンを開ける。

「……悪くはないと思います。」

試着室を一歩出た瞬間、店員さんが小さくため息を漏らした。

「お似合いですよ、本当に」

頬が熱くなる。聖さんに視線を向けると、彼はにこっと微笑んで頷いた。

「これにすればいい。」

「えっ、ちょっと待ってください!」

慌てて声を上げたが、すでに聖さんはレジへと向かっていた。

黒い財布からカードを取り出す、その仕草があまりにも自然で、本気で支払うつもりなのだと悟る。

(ま、待って……! こんな高いの、冗談じゃなく本当に……?)

呆然と立ち尽くす私を振り返り、聖さんは涼しい顔で言った。

「そうだ、アクセサリーや靴も買おう。」

唖然。

一夜限りの契約妻に、ここまでしてくれるなんて……。

胸が高鳴る一方で、現実感がどんどん遠ざかっていく。
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