一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
翌日の夕方。待ち合わせ場所に現れた聖さんは、昨日と同じように端正なスーツ姿だった。

「来てくれて、ありがとう。」

穏やかな笑みを浮かべると、私の前に差し出された手に自然と視線が引き寄せられる。

「今日は……どこへ?」

恐る恐る尋ねると、彼は小さく頷いた。

「レストランを予約しておいた。君が気兼ねなく過ごせる場所をね。」

その言葉に、胸が跳ねた。

(予約……してくれていたんだ)

高級ホテルのラウンジで契約を交わしたときとは違う。

今は契約でも仕事でもなく──“デート”として、彼は私を迎えてくれている。

車に乗り込むと、落ち着いたクラシックが流れていた。

窓の外の夕暮れが流れ、街の灯りが少しずつ瞬き始める。

沈黙も気まずくなく、不思議と心地いい。

「昨日はよく眠れた?」

不意に投げかけられた問いに、思わず頬が熱くなる。

「……はい。なんとか。」

彼は小さく笑い、ハンドルを握る手に力をこめた。

「じゃあ、今夜はもっといい時間にしよう。」

言葉の意味を探す間もなく、胸の鼓動が速くなっていく。
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