一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
車が停まったのは、街の喧騒から少し離れた瀟洒なレストランだった。

レンガ造りの外観に温かな灯りがともり、窓越しに見えるキャンドルの光が優雅な時間を予感させる。

「どうぞ。」

聖さんがドアを開けてくれる。

その仕草が自然すぎて、私は思わず「ありがとうございます。」と小声で返した。

案内されたのは二人用のテーブル。

窓の外には夜景が広がり、テーブルには白いクロスと花が飾られていた。

「わあ……素敵ですね。」

思わず見渡すと、聖さんはグラスを手にして微笑んだ。

「気に入ってくれたならよかった。」

メニューを開く手が少し震える。

高級そうな料理の名前に圧倒されていると、彼がすっと覗き込んできた。

「無理に選ばなくてもいい。食べたいものを頼めばいいんだよ。」

「でも……どれも高そうで。」

「君と一緒に食べられるなら、どれも美味しいよ。」

 さらりと告げられた言葉に、胸が熱くなる。

「……そんなこと、普通言います?」

「普通じゃない夜だから。」

静かな声が心に響き、私はグラスを持つ手をぎゅっと握りしめた。
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