一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
そう思った瞬間、聖さんの唇が優しく重なり、世界が溶けていった。

静かに触れ合った唇は、すぐに熱を帯びていった。

最初は恐る恐る重ねただけの口づけが、何度も繰り返されるうちに深まり、息を吸うことさえ忘れてしまう。

「ん……んん……」

小さな声がもれてしまう。

すると聖さんが唇を離し、囁くように言った。

「……キスで感じてるの?」

恥ずかしさに頬が赤くなる。

けれど、唇は止められなかった。

再び彼の口づけが落とされ、今度は舌が触れ合う。

「……っ」

甘い電流が全身を走り、頭が真っ白になる。

彼の舌に絡め取られ、深く侵されていくキス。

それでも不思議と怖くない。

むしろ、求められている幸福感に胸がいっぱいになる。

抱き寄せられる腕の力が強まった。

私は耐えきれず、自分からも聖さんの背に腕を回し、ぎゅっと抱きしめる。

契約妻としてではなく──女として、彼に抱きしめられたい。

その想いが、もう抑えられなかった。
< 49 / 60 >

この作品をシェア

pagetop