一夜限りの契約妻──冷徹御曹司の独占愛は甘すぎて逃げられない
「こうしてこれからも同じ朝を迎えないか。」

さらりと口にされた言葉に、私はクロワッサンをかじったままハッとする。

「で、でも……一度の夜で決めるなんて。」

慌てて口を押さえると、聖さんは微笑んだ。

「俺は、一度で決意した。」

低い声が耳元に落ちる。

次の瞬間、ぐいと腕に引き寄せられた。

「だって──あんなかわいいイキ顔、見せられたら。」

「っ……!」

言葉の意味に顔が一気に熱くなる。

「他の男に渡したくないって思うのは、当然だろう?」

真っ直ぐな瞳に見つめられ、息が詰まる。

「は、初めてだったのに……」

小さく抗議すると、彼は口元を緩めた。

「初めてでイくなんて、俺たち体の相性もいいんだ。」

さらりと断言され、胸がドクンと跳ねる。

頬にキスが落とされる。

柔らかい唇の感触に、心臓が壊れそうだった。

「だから真帆。もう少し考えてみてくれ。俺の“契約の妻”じゃなく──本当の妻に」

彼の瞳には冗談の色はなく、ただ真剣な光だけが宿っていた。
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