Semisweet.
「意外と上手いじゃん。」

「運動神経だけは良かったから。」


 少し離れた位置に居る瑞野に声が聞こえる様に、会話をする。

 本当に変な感じ。ただのライバル的存在で、それでも私を理解してくれるだけの同期だったのに、今偽りの恋人の関係で、ここに一緒に遊びに来ているなんて。

 2人きりで飲みに行ったりとか何度もしているのに、今日のお出かけはいつもと違う。

 何で、こんなに瑞野を少し意識してしまうんだろうな。


「そう言えば午後からはどこに行くの?」

「内緒。行くまで楽しみにしてて。」

「何それ。」


 実際はただの友達同士の遊びなのに、内緒とかそんなの少しおかしい。

 わくわくしちゃう私はもっとおかしいのかもしれないけど。

 しばらくキャッチボールを続けると、シートの方に戻って座る。


「疲れた、疲れた。」

「そんな大して動いてないでしょ。」


 本当貧弱な男だ。

 ふうっと軽く一息吐くと、飲み物を取り出して一本瑞野に渡すと「サンキュー」と言いながら受け取ってキャップを開ける。


「外嫌いだったけど、良いな。たまには。」

「そ、これを機に健康的に生活してみたら?」

「菜穂が付き合ってくれるならそれもいいかもなあ。」

「…嫌。」


 これ以上あんたの近くに必要以上にいるのも、その名前も全部嫌。

 うっかり本当に好きになっちゃっても責任なんて取ってくれないくせによく言う。

 あの婚約者ですらプロポーズまでしてきたくせに私を捨てたんだから、もう信用なんてしない。
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