Semisweet.
「…いつもなら飲みに行くの付き合ってって愚痴るじゃん。何で今日はそんな元気ないわけ。」

「ん~、疲れてるのかな。瑞野も早く帰んなきゃ…って、明日休みだっけ?ゆっくり休んでね。」


 そんな他愛もない会話をしたつもりだった。

 正直先程の場面で、お前はそんなに可愛げない女だから振られたんだと直接的に見せつけられた気分だった。

 瑞野の気持ちが誰に向こうが関係無いけど、今は何だか話したい気持ちにはならない。


「菜穂。」

「ねぇ、会社で下の名前で呼ぶのやめて。咲間でしょ。」

「今俺は定時過ぎてますけど。」

「本当ああ言えばこう言う…!」


 今は瑞野のそんな言葉にも若干イラっとしているとオフィスに誰も居ないのを良い事に両手で頬を挟まれる。


「仕事は信頼の上でしか成り立たないし、1人じゃ出来ない事もある、だろ?確認できなかったからとか言って、自分を責める言葉が聞きたかったんじゃない。」


 瑞野の言葉を聞いた後目線を逸らして、そのまま顔を振って手を離させる。

 こういう優しい所嫌いじゃなかったけど、私はもうこういう優しさだけは受けないって決めている。


「帰る。」

「飲みには?」

「行かない。」

「行くだろ。」

「聞いてきたくせに決めつけてくんな!」


 瑞野とそんな会話をしながら鞄を持って裏口に向かうと、瑞野も一緒にでてくる。

 今日だけはこの男と一緒に居たくなかった。
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