Semisweet.
「…本当、俺にしとけばいいのに。男見る目無い。」

「瑞野も嫌。」

「何で。」

「靴下その辺にぬぎっぱにしそう。部屋の電気点けたままお酒飲んでソファーで口開けたまま寝てそう。」

「どんなイメージなんだよ、それ」


 そのくらい適当そうだから一緒に居ても楽そうだなとは思う。

 瑞野がツッコんで少し怒っているのを聞いて笑うと、私の表情に瑞野もふっと笑みを向けると、そのまま顔を近付けてくる。

 その形の良い唇を受け入れ…、はせず掌で瑞野の唇を受け入れた。


「何で、キス嫌?」

「付き合ってない男女でキスはしない。」

「今更じゃん。ヤってるし。」

「本当嫌、あんた。もし…付き合っても良いなって思ったら、その時私からキスするから、今は待って。」


 顔を逸らしてそう伝えると、瑞野の言葉は返って来ない。

 無言でいつまでもこのままなのが気恥かしくて瑞野の方を見ると、顔を真っ赤にしていた。

 何でこの男が照れてるのか。私が照れる所では無いのか。


「…何。」

「今は待ってって言い方可愛い。きゅんってきた。」

「あんたがちょろいんでしょーが。」


 そう言いながら押しよけていつまでも玄関先で話している事に笑ってしまう。

 今日は、本当に1人じゃなくてよかった。
 こんな日にひとり寂しく部屋で塞ぎ込まなくて済んだのは、瑞野のおかげだ。
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