Semisweet.
 待ってとは言ったけど、瑞野との答えを決めなきゃいけない時期にそこまで時間は残されていなかった。

 修学旅行や宿泊研修の忙しさで忘れていたけどもう9月。
 残り3か月で私達は約束のリミットを迎えてしまう。

 このことを唯一知る美佳子さんとお休みを合わせてカフェで話をしていた。


「菜穂ちゃん、瑞野くんの事好きよね?」


 私の話を聞いて迷う事無く口にする美佳子さんに頬が火照ってしまう。

 そんな直接的に言ってこなくても…。

 そう照れながらも、美佳子さんに自分の気持ちを誤魔化すつもりはなく、咳ばらいを1つする。


「好き、です。だけど、ずっとやっぱり引き摺っちゃってて。」

「うーん。でもそういう傷を癒すのも新しい恋って言うしね。」

「言いたい事は凄くわかります。でももうまた傷付くのも怖いんです。このまま今の関係を保っていたら傷付くことは無いじゃないですか。」

「そうでもないけど。」

「そうでもないって…。」

「瑞野くんを狙っている女の子ってたくさんいるしね。その中で好きなのに彼女じゃないからなあって抑えながら日々を過ごしていくのって、意外と傷付くと思うしメンタルに来ると思うよ~。恋愛において好きになった時点で傷付かないなんて無理。」


 そう言われれば、確かにこの気持ちを抱えたまま瑞野が他の女性と交際してしまったらそういう傷もあるのかもしれない。

 付き合っても付き合わなくても面倒。


「…感情なんてなくなればいいのに。」

「そんな事言わないの。素直になって飛び込んじゃうだけで後は案外上手く行くかもよ。」

「そう、なんですかね…。」


 美佳子さんの言葉に苦笑い1つして、コーヒーに口付けた。
< 54 / 76 >

この作品をシェア

pagetop