Semisweet.
 仕事も何も変わらず順調だった。

 順調だったけど、瑞野は不服そうに居酒屋の席で相も変わらず生ビールを飲みながら、文句を垂れている。


「てか、何で俺じゃないの。普通俺だろ。」

「仕方ないでしょ…。そんな駄々こねても私が望んだわけじゃないし。」


 というのも私の出張が決まって1泊2日で遠方の今年から修学旅行を予定している学校が、ちょうど少し売り込みたかった地方にあるので、そこに色々とお話するついでにその地方の学校を回って営業を掛けようという話を支配人としていた。

 そこで瑞野が「俺もそっちの地方の企業に営業を掛けるついでに一緒に…!」と立候補していたわけだけど、私達が婚約関係にあると支配人を含め各一部のお偉いさんは理解しているので「遊びじゃない」って軽く怒られていた。そりゃそうだ。

 それにたかが一泊二日の出張で当然部屋は分けるし何だというのだ。

 そもそも支配人は奥様を溺愛なさっているから、私と何かあるとでも思っているのだろうか。思うとしたらこの馬鹿瑞野だけだ。

 それに現地集合だし、何も楽しい出張では無い。

 先に乗り込んでいる支配人に合流して車で各地を回り、営業を掛けるだけ。

 それをこの男はうだうだとカウンターの隣の席で愚痴っている。

 今日はそれのせいか酔いも早い。
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