Semisweet.
「菜穂ちゃん、お昼行かない?」

「美佳子さん!」


 江藤(えとう) 美佳子(みかこ)さん。

 3つ上のフロント担当として勤務する私が大好きな先輩だ。

 先輩は18歳の時にこのホテルに就職してそれからずっとここで働き続けている。

 最初はレストラン勤務だったのが途中から部署異動してフロントで働いている先輩だ。


「もう本当に美佳子さんには聞いてほしい話がいくつもありまして!」

「どこでランチする?新しくできたキッシュが食べれるお店行ってみる?」

「アリです!」


 美佳子さんと財布とスマホを持って近くの新しくできたお店に行く。

 ちょうど昼のピークを越えた時間帯でお店は少し空きつつあった。

 この後お昼から戻った30分後にはチェックインの対応が待っている。

 今日は平日なのもあってそんなにリザーブは多くない。

 キッシュを待っている間に美佳子さんとこの週末の事、今日の瑞野の事をようやく話せた。中々出勤時間も重ならなければ話せない。


「元婚約者に関しては別れて正解という感じだけど…、というか瑞野くんもようやく前に進めたのか…。」

「前に進めたって何の話ですか?」

「ああいや、こっちの話。でも、案外良いんじゃない?本当に瑞野くんに切り替えちゃうのも。」

「いやいや!好きとかそんな風に思ったことも無いですし、瑞野もそんな風に見ていないと思います。」


 美佳子さんは苦笑いして少し呆れた様な何とも言えない顔をしていた。
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