Semisweet.
 仕事終わり、何も食べていないという瑞野の為にお弁当屋で2つ適当にお弁当を買って、瑞野の家に向かう。

 何で家を知っているのかって言うのは、同期が複数人居た時に瑞野の家で宅飲みを何度かしていた事があるからとか、そんな理由だ。

 頻繁に家に行き来しているとかそんな関係なわけない。

 緊張しながらも瑞野の部屋のインターホンを鳴らすと中から瑞野が出てきた。

 仕事中セットされていた髪はお風呂に入ったのか崩されていて、前髪が下りている。


「…よっ。」

「よっ、入れば。」


 私一人でこの家に入るのは初めてで緊張する。

 異性の部屋に2人きりなんて、元婚約者のあの人の部屋にしか入ったことが無い。

 リビングに通されて買ってきたお弁当を置くと、次の日仕事なのにお酒まで用意しているこの男。


「あんた、休み?明日。」

「まさか、遅番。」

「よく飲む気になるわね…。」

「昼からなら余裕よ。」


 もう27だと言うのにいつまで経っても考えが大学生並みに若くて羨ましい。

 瑞野とは入社当時から仲良かったけど、私達2人共フロントから始まって同時期に営業に回されて長い間一緒にいる。

 修学旅行が暇な間は、私も企業向けに営業を掛ける時もあるので時には良いライバルで、良い相棒的存在の同期だった。

 それで私の元婚約者は瑞野の話をすると決まって不機嫌になった。

 そんなに仲良かった話をしていたわけでも無くて、ムカつく同期が居てとかそのレベルだ。

 まだ私は失恋に傷心しきっていて、何をしても思い出す。
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