双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
元奴隷だとか、王族だとか何の意味もない。
 セルシオが人を変える力を持つ程の深い思いやりを持つ男だと私は知っている。
 彼の周りの人間は皆、彼を尊敬し愛し彼の志の為に何かしたいと思っていた。

 きっと、姉もセルシオの妻になったら心穏やかになり幸せになれる。
 私は自分のセルシオを求める気持ちを閉じ込め、孤児院を守ることに集中することにした。

 この孤児院で生きる子たちも私にとっては大切な人だ。

「私と代わってよ。私、ずっと辛かったの。戦利品のように男にまわされてきたのよ。彼が好きなの。一緒になりたい」

 姉が突然隣にいた護衛騎士に寄り添った。

 過去には隣の騎士が好きだから、セルシオと一緒になりたくないと伝えるだけだった。

 そこで私は自分には好きな人もいないし、彼女の代わりに嫁入りすると伝えたのだ。
(戦利品のように男にまわされてきた……姉自身がそのことを言及するなんて……)

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