双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

33.私がセルシオを守ります。

 目を開けると、ルイスが少し離れた椅子に座ったまま眠っていた。
 私は彼をベッドに横たわらせシーツを掛けた。

(椅子で眠っていたら、体がおかしくなってしまうわ)

 私はひっそりと荷物をまとめ、そっと外出着に着替えた。
 そっと、眠りについているルイスの顔を覗き見る。
 頬に涙の跡があるように見えて思わず触れてしまった。

 彼の目がそっと開いた。
「ルイス、ひとまずお別れです」
 私の言葉に彼は飛び起きると、ベッドから離れた。
(どうしたのかしら? 何か怯えている?)

 私は彼のことが心配になり、そっと抱きしめて彼の体に神聖力を送った。

「ルイス、何か悩みがあるなら話してください。お願いだから1人で悩まないで⋯⋯私はあなたにも幸せになって欲しいのです」
(1人で誰にも言えない悩みを抱えて泣いていたのかしら⋯⋯)

「本当に温かくて気持ちいいな。カリン⋯⋯今度生まれ変わったら君の心が誰かに奪われる前に君を探すよ。だから、その時は僕のことを愛してくれると約束して欲しい」
 昔、誰かに生まれ変わっても愛していると言われたことがある気がした。

「もちろんです。もし、私が人間ではなく猫に生まれ変わっても、私を見つけて大切にしてくださいね」
 過去の彼とは全く違う優しい彼。
 
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