双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

35.カリンを帝国から出さない為じゃ⋯⋯。

 カリンを愛おしいと思っていたが、自分が彼女のような子を女として見ているとは思っていなかった。
 
 孤児を連れて城門を潜ってきた時から、彼女がアリアドネではない事には気がついていた。

 カリンは女神のような子で、不思議と愛おしくて守りたいと思った。

「私はあなたの幸せの為に存在します」と彼女は出会ったばかりの俺をまっすぐに慕ってくれた。
 そんな風に人から言われたことがなくて戸惑った。

 今まで年上の女に誘惑されることが多かったせいか、女といえば艶かしく色気のあるものだと思っていた。

 カリンは全く色気がなく、純粋無垢で俺にとっては歳の離れた妹ができたような気持ちになっていた。

 ひたすらに俺を慕ってくる様は、本当に可愛かった。

 彼女と過ごす時間は本当に楽しくて、日に日に彼女を愛おしく思った。

 結婚式の時に、ウェディングドレスを着た彼女はこの世のものとは思えない程に美しかった。
その時に彼女も19歳の女性なんだと、彼女を女として意識し始めた。

 しかし、初夜の時に泣いている彼女を見て、彼女のような天使みたいな子を女としてみたことに罪悪感が湧いた。
 
 
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