双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

37.俺は本当にしょうもないな⋯⋯。

「セルシオ、あなたは覚えてなくても、私とあなたは1年間の結婚生活を送っています」

 カリンから聞かされた話は驚くような事ばかりだった。
 
 ベリオット皇帝が亡くなり、愚かなクリス皇子が皇帝に即位したこと。

 カルパシーノ王国が帝国から脅かされはじめたこと。

 そして、ルイス皇子がカルパシーノ王国を滅ぼし俺が自害したこと。
 何より驚いたのは彼女は俺を取り戻したくて時を戻したという事だった。

「ルイスは自分の狙いは私でセルシオではなかったはずだと言いました。だから、もし同じような事があっても死なないでください。あなたのいない世界が許せなくて、私は何度だって時を戻してしまいそうです。ルイスを生贄にしたこと⋯⋯彼を傷つけました。この世界に生きる人全てを冒涜しました⋯⋯」

 潤んだ瞳で告げてくるカリンを俺はただ抱きしめることしかできなかった。

 俺は出会って早々俺を慕ってくれる彼女を、無垢な可愛い子としか思っていなかった。
 しかし、彼女は俺を失い俺のことを取り戻そうと、1人で戦ってくれていたのだ。

「俺は本当に愚かだな⋯⋯それにしても、カリンは時も戻せるなんて凄いな」
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