双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

14.私は世界一の幸せ者です。

 今日は建国祭の最終日。
 私とセルシオの結婚式だ。

 純白のウェディングドレスに着替えさせて貰って、私は回帰前のことを思い出していた。

 「カリン、泣きそうな顔をしているが、何かあったのか?」
 突然、声をかけられて振り向くとセルシオが心配そうな顔をして私を見ていた。
 控えの部屋のメイドたちは彼が人払いをしたのか出払っていた。
 今、ここには私とセルシオしかいない。

 思い返せば前回は、この結婚式の後からカルパシーノ王国の行く末に暗雲が立ち込みはじめていた。

 3週間後にはパレーシア帝国のベリオット皇帝が崩御したという号外が出た。セルシオの恩人でもある方だ。死因は老衰だということだった。

 その2ヶ月後には皇位についたクリス・パレーシアがカルパシーノ王国は帝国領だと主張し始めた。
 
 いくら先の皇帝陛下がカルパシーノの建国に深く関わったといえ、カルパシーノは独立した国として8年も認められている。

 パレーシア帝国の主張は明らかに不当で、他国も疑義を唱えてくれた。
 しかし、帝国はカルパシーノの味方をした国々を圧倒的な武力で排除し出した。

 
< 49 / 137 >

この作品をシェア

pagetop