双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜
でも夜になると、彼女の相手が僕ではなくセルシオ国王である事を思い知らされた。今、彼女が彼と何をしているか考えるだけで気が狂いそうになった。

 「そうか⋯⋯それは、さぞ良かったんだろうな⋯⋯」
 「神聖力って温かくて幸せな気分になれるもの何ですね。私は姉に神聖力を使いたいんです。やっぱり、彼女の幸せそうな顔を見てみたいんです」
 カリンはアリアドネの事を心配しているようだ。

 僕が秘密裏にアリアドネと交渉し、今、セルシオの元に彼の真の妻として姿を現していると伝えたら彼女がショックを受けるのはわかっている。

 僕はカリンを騙してパレーシア帝国行きの船に乗せた。

 カリンをカルパシーノ王国に返すつもりはない。

 僕の方がセルシオ国王よりも彼女を幸せにできる。
 そんな自信があるのに、彼女に本当のことを告げられない。

 カルパシーノ王国に戻れないということを伝えたら、今すぐにでも海に彼女が飛び込んでしまう気がするからだ。
 僕は彼女の事が本当に好きだから、彼女の気持ちが今自分ではなくセルシオ・カルパシーノに向いている事も分かっている。
(ゆっくりと時間をかけて彼女の気持ちを得ていけば良い⋯⋯)

 アリアドネが僕の要望を受け入れる条件として出してきたのはシャリレーン王国再建の支援だった。彼女は君主不在で混乱する国を建て直したいと思っていたのだ。
 
 父がセルシオ・カルパシーノを王の器だと言っていたが、アリアドネ・シャリレーンも間違いなく王の器だ。

 彼女がもっと早く生まれていて王位についていたならば、シャリレーン王国はあのような末路を辿らなかっただろう。
 
 そして、先日の交渉からアリアドネに、遠い帝国の秘密まで知られてしまっているのが分かった。
 
 ほとんどの聖女はパレーシア帝国で生まれたというのは、帝国により創作された歴史だ。

 本当は聖女を見つけると同時に帝国が囲い込んでいる。
 出生地を偽造し帝国が聖女が生まれる特別な国だと、帝国の威厳を高めることに利用しているのだ。

 
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