双子の悪女の身代わり〜実は私が創世の聖女です〜

20.お慈悲を与えては頂けないでしょうか。

 「ねぇ、もう随分と君の質問に答えてあげたんだし、そろそろいいだろアリアドネ」
 私の髪を撫でながら、顔中に口づけを落としてくるクリス皇子に身の毛がよだった。

 彼は今起き上がれもしない、15歳の少女を抱こうとしている。
(どこまで鬼畜なの? こいつ死ねばいいのに⋯⋯)

 確かに、かなりの情報を聞き出せた。

 パレーシア帝国は思っている以上に悪どいことをしていた。

 そして、信じられないことに聖女を皇室で囲い込み、皇室へ多額の寄付をすることを条件に神聖力を使わせてたという。
 
 クリス皇子が私の寝巻きを脱がそうとしてきて怖かったが、帝国と取引する時の交渉材料として欲しい情報がまだあった。

「待ってください。もう1つだけ聞いても良いですか」
「ダメ! 焦らすのも程々にしないと、流石の私も怒るぞ」

 彼の怒るという言葉に、震えが止まらなくなる。
(殴られるかもしれない⋯⋯怖い)

「では、イエスかノーでお答えください。帝国は聖女の出生地を偽造していますね」
「イエス」

 私は歴代聖女の名前が、帝国であまり付けられない名前の人が割といることに注目していた。
 聖女が帝国で生まれたと言う事にしても、名前までは奪わなかったのだろう。

 私の質問にクリス皇子は面倒そうに答えると、深い口づけをしてきた。
 口の中に大量に幼虫を入れられたような感触に、拷問にあっているような気分になる。
(神様⋯⋯私のことを、まだ少しでも愛おしいと思っているなら助けて)

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