最強で、最孤


その後、佐伯が粘り強く一本勝ち。

大島はあと一歩のところで引き分け。

三宅は落ち着いた試合運びで、一本勝ち。

これで、すでにチームの勝ちは決まった。

だが、残るは——

「行ってこい!瑠那!」

加藤の声に、瑠那が立ち上がる。

拳に力を込める。

「締めてくれよ!大将!」

「頑張って!」

背中に仲間の声が届いた。

そして今、瑠那は静かに竹刀を構える。

(チームで戦うって、こういうことなんだ

 最後を任されるって重い。でも、そこを乗り越えてこその、黒瀬瑠那だろ!!)

「始め!」

審判の声がこだまする。

熱い戦いが、今、始まった——
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