キスは契約違反です!! ~年下御曹司と期間限定ルームシェア~
 唖然とする私に一歩近づいて、宮西さんが続ける。

「離れてみて気づいたけど、俺にはやっぱり、玲奈しかいないなって」

 熱に浮かされたような表情でそんなことを言う彼に、激しい憤りを覚える。

「……今さら何言ってんの。私を捨てたんなら、ちゃんと結衣を大事にしてよ」

 宮西さんを睨みつければ、「捨てたわけじゃい」と即座に返ってくる。

「捨てたんじゃなくて……玲奈が変わってくれれば俺は、」

 目を眇めた宮西さんは、熱っぽい声で言い募る。

「仕事ばっかりやって、家のことやってくれないし……俺たち、一緒に住んでたのに」

「……だって、私も働いてたんだよ」

 低い声で、それだけ返す。宮西さんは、苛立った声を出す。

「だから、女の子なんだから、仕事にがっつかなくていいんだって」

 何も言い返さない私に、彼は言い聞かせる口調で続けた。

「おまえの提案がコンペで通るのは、おまえが女だからだよ。前に立って喋ってるのが美人だったら、見栄えがするじゃん」

 諭す眼差しを私に向けて、彼は嬉々として言い連ねる。

「だから、仕事ができるとかじゃないんだよ。ちゃんと女の子らしく家のことやってさ」

 ――ぐ、と両方の手を強く握りしめたところで。

 かつん、と響いた靴音とともに、

「お久しぶりです、宮西さん」

 穏やかな声が背中側から聞こえた。
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