キスは契約違反です!! ~年下御曹司と期間限定ルームシェア~
ひとつ――息を吸ったら、不安定に呼吸が掠れた。
「先輩、苦しいですか」
如月くんが、上体をひねってこちらを向く。私をただ案ずる眼差しで、遠慮がちに手を伸ばす。
伸ばされた手は、私に触れないまま握りこまれる。
「……やっぱり、飲み物を取ってきますね」
そう言って、彼は私から目を逸らす。ベッドのスプリングが軋んで、彼がゆっくりと立ち上がる。床を踏む静かな足音が、遠ざかってゆく。
彼を追いかけたくて、ベッドから上体を起こした。
「――契約違反にして」
え、と如月くんが振り返る。私は床へつま先を下ろして、立ち上がった。
如月くんと向き合って、彼の瞳をまっすぐに見つめる。
そのまま背伸びをして、彼のシャツにぎゅっと縋って、掠めるようにくちびるを合わせた。
「今のキスを、契約違反にして」
目を見ひらいて硬直する如月くんに、泣きたい気持ちで告げる。
「契約違反したから……契約を解除してほしい」
愛さないなんて言わないで、と続けた声には涙が混じっていた。身勝手な通告を自覚しながら、
「私は、如月くんが好き」
揺らぐ視界で、如月くんを見つめる。
「先輩、苦しいですか」
如月くんが、上体をひねってこちらを向く。私をただ案ずる眼差しで、遠慮がちに手を伸ばす。
伸ばされた手は、私に触れないまま握りこまれる。
「……やっぱり、飲み物を取ってきますね」
そう言って、彼は私から目を逸らす。ベッドのスプリングが軋んで、彼がゆっくりと立ち上がる。床を踏む静かな足音が、遠ざかってゆく。
彼を追いかけたくて、ベッドから上体を起こした。
「――契約違反にして」
え、と如月くんが振り返る。私は床へつま先を下ろして、立ち上がった。
如月くんと向き合って、彼の瞳をまっすぐに見つめる。
そのまま背伸びをして、彼のシャツにぎゅっと縋って、掠めるようにくちびるを合わせた。
「今のキスを、契約違反にして」
目を見ひらいて硬直する如月くんに、泣きたい気持ちで告げる。
「契約違反したから……契約を解除してほしい」
愛さないなんて言わないで、と続けた声には涙が混じっていた。身勝手な通告を自覚しながら、
「私は、如月くんが好き」
揺らぐ視界で、如月くんを見つめる。