キスは契約違反です!! ~年下御曹司と期間限定ルームシェア~
「な、何で……私、」
動揺しながら後ずさったら、背中がヘッドボードにぶつかった。結構な勢いだったので、「いたっ、」と思わず声が出た。私の様子を見て、ふっと笑った如月くんは、
「――覚えてない?」
と、意味ありげに囁いて、口角を緩く持ち上げる。
セットされていない髪はいつもよりさらさらで、雰囲気がどこかあどけない。
それなのに、私を見つめる眼差しは、あどけなさと裏腹の色香を帯びている。世界は眩い朝なのに、如月くんの瞳に囚われた私は、まるで危うげな夜に囚われたみたい。
逃げるように、眼差しを逸らした。
だけど、視界の端を彼のかたちの影が掠めて、少しだけつめたい指先が頬に触れる。
びく、と肩を竦めた。そうしたら、如月くんは呆気なく指先を引っ込めた。
「心配しなくても、何もしてませんよ」
「え、」
「ひとりで帰すのは危ないくらいに酔ってたから、泊まってもらっただけです。服は、俺が渡したスウェットに、何とか自分で着替えてました」
その言葉を聞いて、心の底からほっとした。だって、浮気されてヤケ酒して、会社の後輩に手を出しました――なんて顛末、とてもじゃないけど目も当てられない。
枕元には、きっちりと畳まれた私の服が置いてある。ひどく情けない気持ちになりながら、深く頭を下げた。
「……ごめんね、大変なご迷惑をかけました」
如月くんなら、――ホントですよ、今度何か奢ってくださいね!
そんなふうに、明るく笑い飛ばしてくれると予測した。
だけど、
「――先輩は謝らないで」
いつもより低い声が、そう言った。
え、と顔を上げると同時、私に覆い被さるようにして、如月くんがヘッドボードに左手を突いた。
朝の白い眩さのなかで、彼の影が私を染める。
鼻先を掠めるシャンプーの匂い。彼の息遣いを感じる距離。
「何もなかったけど、――何もないまま帰すつもりはないから」
低い囁きが耳元に落ちた、その瞬間に、浅くこぼした息がふるえた。
動揺しながら後ずさったら、背中がヘッドボードにぶつかった。結構な勢いだったので、「いたっ、」と思わず声が出た。私の様子を見て、ふっと笑った如月くんは、
「――覚えてない?」
と、意味ありげに囁いて、口角を緩く持ち上げる。
セットされていない髪はいつもよりさらさらで、雰囲気がどこかあどけない。
それなのに、私を見つめる眼差しは、あどけなさと裏腹の色香を帯びている。世界は眩い朝なのに、如月くんの瞳に囚われた私は、まるで危うげな夜に囚われたみたい。
逃げるように、眼差しを逸らした。
だけど、視界の端を彼のかたちの影が掠めて、少しだけつめたい指先が頬に触れる。
びく、と肩を竦めた。そうしたら、如月くんは呆気なく指先を引っ込めた。
「心配しなくても、何もしてませんよ」
「え、」
「ひとりで帰すのは危ないくらいに酔ってたから、泊まってもらっただけです。服は、俺が渡したスウェットに、何とか自分で着替えてました」
その言葉を聞いて、心の底からほっとした。だって、浮気されてヤケ酒して、会社の後輩に手を出しました――なんて顛末、とてもじゃないけど目も当てられない。
枕元には、きっちりと畳まれた私の服が置いてある。ひどく情けない気持ちになりながら、深く頭を下げた。
「……ごめんね、大変なご迷惑をかけました」
如月くんなら、――ホントですよ、今度何か奢ってくださいね!
そんなふうに、明るく笑い飛ばしてくれると予測した。
だけど、
「――先輩は謝らないで」
いつもより低い声が、そう言った。
え、と顔を上げると同時、私に覆い被さるようにして、如月くんがヘッドボードに左手を突いた。
朝の白い眩さのなかで、彼の影が私を染める。
鼻先を掠めるシャンプーの匂い。彼の息遣いを感じる距離。
「何もなかったけど、――何もないまま帰すつもりはないから」
低い囁きが耳元に落ちた、その瞬間に、浅くこぼした息がふるえた。