隠れ許嫁は最終バスで求婚される
やがて空き家率の高い……一部では限界ニュータウンと揶揄されている古い住宅地へとバスを走行させる。俺の実家があるのはこのバス停から坂を上って数分のところである。ひとり、またひとりと乗客が降りていく。すでに立ち客はいなくなり、車内には座っている数人のみ――あれ、薄着の女の人、寝てるのか?
駅から乗ってきた女性が下車した気配はない。これから住宅地を離れ、さらに鬱蒼とした山の麓へ向かうバスとはどこかミスマッチな女性客の存在が妙に気になる。幽霊、なわけないよな。
最終バスの運行をはじめて約二時間。今夜も問題なく終点の十和栗車庫に到着した。車内に忘れ物がないか確認するため立ち上がる、と。
「……!?」
終点まで寝過ごしたであろう女性が目を瞬かせ、ふたたび狸寝入りをはじめていた。どうやら幽霊ではないらしい。
ホッとした俺は、彼女を警戒させないよう座席まで向かい、そうっと声をかける。
「お客さん、終点ですよー」
駅から乗ってきた女性が下車した気配はない。これから住宅地を離れ、さらに鬱蒼とした山の麓へ向かうバスとはどこかミスマッチな女性客の存在が妙に気になる。幽霊、なわけないよな。
最終バスの運行をはじめて約二時間。今夜も問題なく終点の十和栗車庫に到着した。車内に忘れ物がないか確認するため立ち上がる、と。
「……!?」
終点まで寝過ごしたであろう女性が目を瞬かせ、ふたたび狸寝入りをはじめていた。どうやら幽霊ではないらしい。
ホッとした俺は、彼女を警戒させないよう座席まで向かい、そうっと声をかける。
「お客さん、終点ですよー」