隠れ許嫁は最終バスで求婚される

   * * *


 日が沈むころ、庭に灯りがともりはじめた。
 昼間の賑わいが嘘のように静かで、風の音だけが耳に届く。
 挙式と披露宴を終えた式場はとても静かだ。あれほどたくさんいた人たちも帰って、いまはもう、私と一季さんだけ。結婚初夜はここのゲストハウスでゆっくり過ごすことになっている。ドレスを脱いだあたしは一季さんと静まり返った夜の庭を散策していた。あたしたちのためだけにライトアップされているこの演出は、一季さんのサプライズらしい。彼も粋なことをするものである。
 白と青のネモフィラの花畑が印象的な式場の庭は、昼間とはまた違った顔を見せていた。
 神秘的な雰囲気のなかで、かすかな打ち上げ音と光が夜空から届く。

「あ、花火」
「隣町の遊園地があげてるのが、ここからでも見られるんだな」

 藍色の空に、ひとつ、またひとつと光の花が咲く。
 次の瞬間、ぱらぱらと花びらのように散った火の粉が夜空に溶けていく。
 まるで祝福の続きを見せてくれているみたいで、あたしは歓声をあげる。
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