お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
それもだけど、えーと…えーと…何かたくさん引っ掛かってるんだけど…何だっけ…えーと…

あっ!思い出した!
「そうだ!桜賀は副社長の娘さんとお見合いするって聞いたんだけど!?」

「はぁ?何だそれ」

「ルナさん達がそう言ってたみたい」

「っつうか、そもそもどこから漏れたんだよ、見合いの話……ってかさ、副社長の娘とだったら、姉貴と見合いすることになるんだけど」

「お姉さんがいるんだ」

「あぁ。もちろん実の姉な。姉貴は結婚してて、今は旦那さんの姓の〝吉沢〞を名乗ってる」

「へぇ…そうなんだ……あっ!そういえば副社長って吉澤さんだよね?何で桜賀は桜賀なの?」

「それな。吉澤は母さんの旧姓なんだよ。独身の頃から仕事で名を知られてたから、そのまま吉澤で通してるんだってさ。俺も昔、不思議に思って聞いたことがあるんだ。…だから母さんも戸籍上っつうか本当は桜賀だよ」

「そうだったのね…」

なるほど……と納得しているんだけど、まだ何かが引っ掛かってる気がするんだよね。

何だっけ…と、人差し指で額をつつきながら一生懸命思い出そうとしていると、「俺があの〝ひびきくん〞だったことか?」とまさにジャストミートな質問が桜賀からとんできた。

「そう!それ!ホントに桜賀があの時の〝ひびきくん〞なの!?」

つい人差し指を桜賀に向けてしまい、ハッ!とすぐに手を引っ込めた。

「あぁ、そうだよ」

「…覚えてたの?私のこと…」

「あぁ、入社後の研修の時から気付いてた」

「じゃあ何で最初に言ってくれなかったの?」

「いや…奈都子にとってはほんの数日間の出来事だっただろ?だから逆に忘れられてると思ってたし。それに…ほら、話しても思い出せないほど忘れてたら悲しいじゃん?」

「まぁ…確かにそれはあるけど……あっそうだ!あの、私てっきりひびきくんは年下だと思って、あの時にあげたお守りのメッセージ、全部ひらがなで書いたんだよね…」

「そうだったな」

「ごめんね……勝手に年下って思い込んじゃって…」

「いや、全然気にもしなかったよ。…とにかく嬉しかったから」

「…ありがとう」

その件はお許し頂けてたみたいで安心した。

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