お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「それでさ、奈都子」
「うん」
「俺の気持ちを知られたついでに、もう一つお願いがあるんだ」

「お願い?」

「ん……あのさ、名前で呼んでほしいんだ。二人の時だけでも」
「名前で?」
「あぁ、〝桜賀〞じゃなくて〝響〞って。…あの焼肉の帰りにさ、コンビニでアイス食ったじゃん?」
「私がヘタなお芝居した時の?」
「ハハ、そう。あの時に奈都子に響って呼んでもらったのがすげぇ嬉しくてさ。また名前で呼んでもらいてぇな、ってずっと思ってた」

なんて嬉しそうに、でも少し照れながら言う桜賀に、胸がきゅう…っと締め付けられた。


桜賀…
私もね…好きなんだよ、桜賀のこと。

さっき言われた〝結婚を前提としたお付き合い〞もね、信じられないくらい嬉しくて、すぐにでも桜賀の胸に飛び込みたいの。


でもね…私……

桜賀の人生の邪魔になりたくない。

こんな…今の私じゃ…
桜賀の足を引っ張るだけの存在にしかならないもん。



だけど…
やっぱり私は桜賀が好きで……

どうしようもなく大好きで……



……どうしたらいいんだろう……



これはすぐには答えが出せないと思い、それだけでも話しておかなければと、口を開いた。

「あの…返事なんだけど…」
「!…うん」

「あの…少し…考えさせてもらってもいいかな…」

「…あぁ…うん、それはもちろんいいよ。…ハァ…よかった、今断られるんじゃないかって、ちょっとびびった。……まぁ、人生における大事なことだし、即答できないのはわかるけど……よければ理由を聞かせてもらってもいいか?…俺の何が良くないのか、何が足りないのか知りたいんだ。好きになってもらえるなら直したいからさ」


桜賀……

そこまでして、私と付き合いたいと思ってくれるの…?

…嬉しくて涙が出そう…

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