お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
──その日の夜。
桜賀と待ち合わせしたのは、あのお見合いをした、高輪にあるラピスニューグランドホテル。
桜賀が「そっち(多摩支店)に迎えに行く」と言ってくれたけど、さすがに都心から往復させるのは申し訳ないので、一人でホテルへと向かった。
しかし、高級焼肉店の時と同じ金曜日だからなのか桜賀にはすごく心配されて、電車に乗っている最中も『混んでないか?』『変なやつに絡まれてないか?』『乗り換え分かるか?』『ホテルまで来れるか?』などとメッセージが入り続け、それに『大丈夫だよ』と返信する度に、ふふっ、と笑みをこぼしていたのだけど、『心配で堪らないからラピスの最寄り駅で待ってる』ってメッセージを見た瞬間、思わずアハッ、て声が出ちゃった。
駅の改札を出ると同時に駆け寄って来てくれた桜賀のホッとした表情に嬉しさで涙を滲ませていると、すぐさま手を繋がれた。
久しぶりのその大きな手にドキドキしながら、私達はホテルの高層階にあるレストランへとゆっくり歩いた。