お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「今日のWeb会議の後、多摩支店はどうだった?」
ワインをくゆらせながら桜賀が問う。

「もう…大変だったんだから」
ワイングラスのステムを持ち、苦笑して言う。

「どんな風に?」

「保科さん達がルナさんを糾弾して……葵も過去の川柳の件をルナさんに突き付けて……私は保科さん達やいろんな人から謝られたり……あとは……あ、実家が『たからばな酒蔵』だってバレたり。これはメモ用紙のキャッチコピーに気付いた宮田くんに葵がノッてバラしちゃった様なものだけどね」

「そっか。でも、奈都子の疑いは晴れたんだろ?」
「うん…まぁ…」
「何だ?まだ気になることがあるのか?」
「ん…」

「どうした…?」
桜賀が私の顔を心配そうに覗き込む。

「うん……あ、お料理が来たから後で話すね。さ、食べよ!おいしそう!」
「あぁ、そうだな」


お仕事を辞めようと思っていたことは、この素敵なディナーを頂きながら言う内容ではないと思い、ひとまず避けた。

それに、桜賀への返事もしなくてはならない。

これは…ゆっくりと2人きりで話したいから…
ここでは時間が足りないと思ったの。


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