お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
素直な気持ちを伝えたくて
「ん~、美味しかったぁ!ごちそうさまでした。…でも本当にご馳走になっていいの?あの焼肉だって高かったのに…」
「あぁ。俺がご馳走したいんだよ、奈都子にな」
「…ありがとう」
優しい笑顔で言われたから、私も優しく笑って答えた。
そして、レストランを出るとすぐに桜賀が手を繋いできた。
……この前のお見合いの時に桜賀からの告白を受けて以来、私達の雰囲気はガラリと変わった。
桜賀がとにかく優しい。
言葉も、行動も。
いや、前から優しいんだけど、何て言うか…優しさが甘くて、それは心が蕩けてしまいそうになるほど。
私はすぐにでもこの甘さに飛び込みたい。
桜賀のことも…「響」って呼びたい。
けど、なあなあにはしたくなくて、ちゃんと返事をするまでは今までの関係を保たなければダメだ、と自分に言い聞かせてきた。
「…食事する前にした話の続きだけど…俺の部屋でもいいか?」
「うん」
「ん、じゃあ行こうか」
繋いでいる手を更にきゅっと握られ、最寄りの駅まで歩く。
二人で電車に乗るのは、あの新宿の焼肉屋さんの時以来。
また桜賀の腕につかまってもいいのかな?
それとも、やっぱり吊り革に掴まっておくべき?
…とか少し悩みつつ桜賀と電車に乗り込んだ。
やはり車内は混んでいて、桜賀が車両の中ほどまで進むと繋いでいた手を離し、すぐさまその手で私の腰を抱いた。
「奈都子、前に急停車で手を滑らせただろ?だからこの方がしっかり支えられるし」
ボソッと言う桜賀を見ると、照れているのか顔が少し赤く見えた。
「…ありがとう」
そんな桜賀が愛しくて、ふ…と笑みをこぼしながら言う。
…ねぇ、桜賀。
あなたのその大きな手のひらに、私の身体中のドキドキが伝わっちゃってないかな?
きっと私の気持ちはバレてると思うけど…
後でちゃんと言わせてね。
あなたが好きです、って。