お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
フガガッ!?
いきなり自分の身に起こったことが分からず、一瞬、息ができなくなった事にパニクった。
ぷは!……ハァ…ハァ……一体何が!?
と自分を取り戻すと同時に、桜賀に鼻をつままれている事に気付いた。
「!?」
驚きの視線で問うと、桜賀はすぐに手を離した。
「ハァ…ハァ…びっくりした……なに急に…」
「オ・マ・エ、が、ご馳走してくれるんだろ?それが俺の命令なんだから」
…あ、さっきの返事か。
「まぁそうだけど…」
「分かったらもう言うなよ。な?」
あっそう…そこまでして私に払わせたいんだ。
いいですよ、私が一人で払いますよーだ。
はぁ…
別に期待してた訳じゃない。
桜賀にとっては『私に払わせる事』に意義があるだけなのは分かってる。
デートだと思ってるのは私だけなのも。
だけどハッキリと言われてしまい、しゅん…と気持ちがしぼむと同時に手に力が入らなくなったその時、車内アナウンスが流れた。
『急停車します、ご注意下さい』
…きゅうていしゃ?
なんてボケッと考えていたら、電車がホームに滑り込みながら大きくキィィィィ!と長い音を立て、車内の乗客が全体的に大きく揺れた。
「ひゃあっ!」
すっかり油断していた私は、急ブレーキで体が前に押し出されたその拍子に、掴んでいた桜賀の腕から手が滑り、体ごとギュウと桜賀に寄り掛かってしまった。
「っと…バカ、離すな」
その言葉と同時に、抱き締められる様に肩を抱かれると、私の好きな香りがふわりと私を包んだ。
…桜賀のフレグランス…
その香りとこの状況にドキドキしていると「…重い」と言われ、寄り掛かったままなのを思い出した。
そしてすぐに体を立て直すと、赤い顔を見られないように俯いたまま「ごめん」と謝った。