お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~

人の流れが落ち着くのをホームの柱のかげでひっそりと待っていたら、いきなりグイと腕を掴まれた。

「ひゃっ!?」

びっくりして振り向くと、それは先に行ったはずの桜賀で、しかも汗だくで息を切らしていた。

「奈都子っ、…どこ行ってんだよ……ハァ…ッ」

「あれ、先に行ってたんじゃないの?」

「振り向いたらオマエいないし、慌てて探してたんだっての」

え、探してた!?

「それは…ごめんなさい」

まさかそんなに驚かせてしまってたなんて…
気楽に構えてた事が、こんなに必死に探してくれてた桜賀に申し訳なくて、素直に謝った。

後でじゃなくて、すぐに電話しておけばよかったんだ。

もっとちゃんと相手の気持ちを考えないと…
私は気が利かなくてだめだなぁ、ほんとに。
自分が情けなくて泣けてくる…

じわりと涙が滲む目を見られたくなくて、少しだけ顔を背けた。
泣いてるとこなんて見られたら、また何を言われるかわからないし。

早く涙が引っ込んでくれないかしら…なんて考えていたら、頭のてっぺんにポンと手のひらが乗った感触がした。

「ま、すぐに見つけられたし、無事でよかったよ」


え…

無事でよかった、って…
桜賀、怒らないんだ…


「ほんと…ごめん…」

桜賀の普段聞かない優しい声と仕草に、つい涙腺が緩んでしまった。


「…オマエ、泣いてるのか?」

あああ!覗き込まないでってば!
「や、泣いてないけどっ」

なんて涙を浮かべた瞳で言ったら、今度こそ憎まれ口たたかれるって!



「…オマエさ…」

ほら来た!と顔を少し背けて身構えていたんだけど、耳に届いたのは意外な言葉だった。

「下手に動かず、この流れが引くのを待ってたんだろ?…それ正解。賢明な判断だと思うぞ」


…えっ?


「だから泣くな」

「あ、ありがとう…」

…何だかんだ言って、こうしてフォローしてくれるんだもん、やっぱり優しいね、桜賀。


「泣いたところで色気が出るわけじゃないんだから、体の水分の出し損なだけでもったいないだろ?」


なっ、なぬぅっ!?

「どーせ何をしたって色気なんてありませんよーだッ!フンッ!」

前言撤回!優しくないっ!


「ハハッ、これでいつもの奈都子だな。…さ、行くぞ」

「………」

むうっ!と顔をしかめたまま桜賀の後ろについて歩いていたら、エスカレーターに乗る手前で「先に乗れ」と桜賀に前を譲られた。

「後ろでいーですぅ!お先にどうぞっ」

むうっ!の顔のまま言うと、「いいから俺の前に行け」と無理やり桜賀の前にねじ込まれた。

エスカレーターなんだからはぐれることないのに子供扱いして……むむむうっ!


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