お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
〝奈都子、用事は終わった?〞

最寄りの駅に向かう道中、歩きながらSNSでメッセージを送るとすぐに既読がつき、ほどなくして返事が来た。

〝うん、終わったとこ!ランチも行けそうだから、今、連絡しようと思ってたの〞

よっしゃ!それは好都合!

『…もしもし、響?』
「あぁ奈都子、俺とランチ行かない?2人で」

メッセージを送るより早いから、と奈都子に電話。
早く声を聞きたかったってのもあるけどな。

『2人で?…いいの?お母さんは?』
「それは大丈夫。詳しくは会ったら話すけど。奈都子、今どの辺にいる?」
『今、歩いて飯田橋の駅に向かってて、もうすぐ着くかな』
「おっ、近いな。じゃあ…九段下で待ち合わせでもいいか?飯田橋からなら東西線で1駅だから」
『そうなんだ、うん、大丈夫』
「俺は5分あれば着くかな。じゃ、着いたら連絡して、そこに向かうから」
『ありがとう。じゃあまた後でね』

…はあぁ…
何だろ、電話で話しただけなのに、この安堵且つ幸福感…
やっぱ毎日一緒にいないから〝奈都子欠乏〞に陥ってんだな。
じゃ、今日はランチで奈都子をたっぷり補給しとこ。


それから九段下の駅で奈都子を見つけた俺は、すぐに奈都子の小さな手に指を絡めて握った。
パンツスーツ姿でピシッとしてるけど、可愛さが駄々もれてんだよな……もうメシの時以外、絶対に手を離さねぇからな。

「ふふ、今日、響と2人でカフェランチができるなんて、思ってもみなかったよ」
「俺も。まぁ降って湧いた機会なんだけどな」

駅の出口へ歩きながら、以前一人でふらっと入ったことのあるカフェが近くにあるのを思い出し、奈都子にそこでいいかと聞くと、可愛い顔で「うん!」と俺を見てニコニコするもんだから、無性に抱き締めたくなって自分を抑えるのが大変だった。マジで。
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