お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「あっ…響さん!」
改札を出て出口に近づいたところで、俺に気付いた川嶋さんが小さく手を振った。
はぁ……じゃあ仕事モードに切り替えるか。
「…お待たせしました」
「ありがとうございます!…それでですね、あの…申し訳ないんですけど…歩く時、腕に掴まらせてもらってもいいですか?さっきちょっと階段で躓いちゃって足首が…」
そう言うと川嶋さんは屈んで自分の足首を少しさすった。
「ケガしたんですか?」
「はい…あ、そこまで酷くはないし歩けるんですけど…」
「なら、タクシーで行きましょう」
「え……歩けますよ?」
「いや、無理しない方がいいでしょう。これ以上酷くしては大変ですし」
「えっと…少し腕に掴まらせてもらえれば大丈夫なので…」
「普通に歩けないのであればタクシーを使った方がいいですね、近いとはいえ5分以上は歩きますから。…奈都子、俺、あっちの道でタクシー見てくるわ」
「あっ、なら私が見てくるよ」
「あぁ…そうだな、サンキュ。なら俺はこっち見てるな」
「うん、捕まえたら呼びに来るね」
…とりあえず普段の俺達の会話のままだけど、まぁ大丈夫そうだな。
「あの方は…?」
俺と奈都子のやり取りを黙って見ていた川嶋さんが、不思議そうに俺に聞いてきた。
「あぁ、彼女は宝花奈都子。今日カミヅカ商会に一緒に行くメンバーですよ」
「あの、どういったご関係なんですか?」
「同期です。私が本社に移るまで同じ支社で同僚として働いてました。ちなみに、奈都子は新たにできる窓口のスタッフの一人で、これからカミヅカさんで確認する文具やファニチャーを副社長と一緒に選んでくれましてね」
「窓口の…そうなんですか。…仲がいいんですね」
「えぇ、同期ですし」
〝俺の妻になる、最愛の女性ですし〞
とも言ってしまいたいけど、それはまだ我慢。
なんて考えていると、その最愛の奈都子がこっちに向かって走ってきた。
「…桜賀!タクシー捕まえたから待っててもらってるけど、乗る?」
「おう、サンキュ。…では行きましょう」
「あ、えっと…」
「大丈夫ですか?足…痛みますよね、歩けますか?手を貸しますよ」
奈都子が心配そうに川嶋さんに声をかけている。
…彼女と会う事に緊張すると言ってたのに…
さすがというか、やっぱ人として出来てる奈都子ならではだよな。
「あっ、いえ…近くなら大丈夫です」
「そうですか。助けが必要だったら遠慮なく言って下さいね」
「はい……ありがとうございます」
二人がタクシーの後部座席に乗り込んだのを確認し、俺は助手席に座った。
この先、何も起こらなきゃいいが…と少々の不安を感じながらカミヅカ商会へと向かった。
改札を出て出口に近づいたところで、俺に気付いた川嶋さんが小さく手を振った。
はぁ……じゃあ仕事モードに切り替えるか。
「…お待たせしました」
「ありがとうございます!…それでですね、あの…申し訳ないんですけど…歩く時、腕に掴まらせてもらってもいいですか?さっきちょっと階段で躓いちゃって足首が…」
そう言うと川嶋さんは屈んで自分の足首を少しさすった。
「ケガしたんですか?」
「はい…あ、そこまで酷くはないし歩けるんですけど…」
「なら、タクシーで行きましょう」
「え……歩けますよ?」
「いや、無理しない方がいいでしょう。これ以上酷くしては大変ですし」
「えっと…少し腕に掴まらせてもらえれば大丈夫なので…」
「普通に歩けないのであればタクシーを使った方がいいですね、近いとはいえ5分以上は歩きますから。…奈都子、俺、あっちの道でタクシー見てくるわ」
「あっ、なら私が見てくるよ」
「あぁ…そうだな、サンキュ。なら俺はこっち見てるな」
「うん、捕まえたら呼びに来るね」
…とりあえず普段の俺達の会話のままだけど、まぁ大丈夫そうだな。
「あの方は…?」
俺と奈都子のやり取りを黙って見ていた川嶋さんが、不思議そうに俺に聞いてきた。
「あぁ、彼女は宝花奈都子。今日カミヅカ商会に一緒に行くメンバーですよ」
「あの、どういったご関係なんですか?」
「同期です。私が本社に移るまで同じ支社で同僚として働いてました。ちなみに、奈都子は新たにできる窓口のスタッフの一人で、これからカミヅカさんで確認する文具やファニチャーを副社長と一緒に選んでくれましてね」
「窓口の…そうなんですか。…仲がいいんですね」
「えぇ、同期ですし」
〝俺の妻になる、最愛の女性ですし〞
とも言ってしまいたいけど、それはまだ我慢。
なんて考えていると、その最愛の奈都子がこっちに向かって走ってきた。
「…桜賀!タクシー捕まえたから待っててもらってるけど、乗る?」
「おう、サンキュ。…では行きましょう」
「あ、えっと…」
「大丈夫ですか?足…痛みますよね、歩けますか?手を貸しますよ」
奈都子が心配そうに川嶋さんに声をかけている。
…彼女と会う事に緊張すると言ってたのに…
さすがというか、やっぱ人として出来てる奈都子ならではだよな。
「あっ、いえ…近くなら大丈夫です」
「そうですか。助けが必要だったら遠慮なく言って下さいね」
「はい……ありがとうございます」
二人がタクシーの後部座席に乗り込んだのを確認し、俺は助手席に座った。
この先、何も起こらなきゃいいが…と少々の不安を感じながらカミヅカ商会へと向かった。