お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
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───
「実際に見てみるのはやっぱり大事ねぇ」
「そうですね。使用感も色合いも思った通りで良かったです」
「やっぱり奈都子ちゃんにお願いして良かったわぁ、響じゃこうはいかなかったわよ」
「ハハ、確かに。この椅子にしたって、黒よりもこっちのベージュの方が断然合うな」
なんて話していると、川嶋さんがちょこっと手を上げて「横からすみません」と話に入ってきた。
「あの、私はブラックの方がいいと思います。黒は引き締まるし、重厚感や高級感が出るので」
「あら、川嶋さんはカラーに詳しいの?」
「少しですけど、インテリアコーディネーターを目指していた頃にお勉強したんです」
「まぁ、そうなの」
「はい、ですから良かったら私も見させてもらってもいいですか?アドバイス出来ることもあると思いますし」
「でももう全て決めてあるし、今見たところどれも良さそうだから大丈夫よ、ありがとう」
「いえ、お客様のためですから、こだわった方がいいと思います!この椅子、響さんはブラック推しなんですよね?ブラックは万能ですし、それにこのデザインならブラックが正解ですよ!センスあると思いますッ!」
…それは私のセンスが無いということかしら…
と自信が崩れかけていた私に、響が質問を投げ掛けてきた。
「なぁ、奈都子はどうしてベージュを選んだんだ?」
「へ?……あぁ、それは安心感かな。保険の加入や見直しを考えるってことは何かしらの不安があったりする訳だし、まずは安心してもらいたくて。ご相談中も心穏やかに過ごしてほしいからね」
「あとは?」
「この椅子って背もたれと肘掛けに木が使われてていて、ベージュだと同系色で相性がいいし、温かみがあるのに夏場でも暑くない色味だからね」
「それから?」
「新しくできる窓口のオフィスってオフホワイトが基調でしょ?床はアイボリーの木目調で壁がクリームイエローとオフホワイトのバイカラーだから、ホワイトからベージュ系で明るめにまとめた方が全体的に落ち着くと思って。…これらの理由によりベージュが良いと判断しましたっ、以上っ」
真面目になりすぎないように、最後はあえてのお堅い言い方で、少し砕けた雰囲気を出してみた。
「ふ、なるほどね。…川嶋さんの知識は正しいと思うけど、ここは奈都子のホスピタリティが導き出したセンスでいいと俺は思うけどね」
「…そう…ですね……奈都子さん、出過ぎた真似をしてすみませんでした」
「いっ、いえいえ、そんなこと!…でも、川嶋さんが最初のコンセプトから見て下さっていたら、また違っていたかもしれませんね」
「ふ、奈都子らしいな」
「何が?」
「いや、何でも」
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「実際に見てみるのはやっぱり大事ねぇ」
「そうですね。使用感も色合いも思った通りで良かったです」
「やっぱり奈都子ちゃんにお願いして良かったわぁ、響じゃこうはいかなかったわよ」
「ハハ、確かに。この椅子にしたって、黒よりもこっちのベージュの方が断然合うな」
なんて話していると、川嶋さんがちょこっと手を上げて「横からすみません」と話に入ってきた。
「あの、私はブラックの方がいいと思います。黒は引き締まるし、重厚感や高級感が出るので」
「あら、川嶋さんはカラーに詳しいの?」
「少しですけど、インテリアコーディネーターを目指していた頃にお勉強したんです」
「まぁ、そうなの」
「はい、ですから良かったら私も見させてもらってもいいですか?アドバイス出来ることもあると思いますし」
「でももう全て決めてあるし、今見たところどれも良さそうだから大丈夫よ、ありがとう」
「いえ、お客様のためですから、こだわった方がいいと思います!この椅子、響さんはブラック推しなんですよね?ブラックは万能ですし、それにこのデザインならブラックが正解ですよ!センスあると思いますッ!」
…それは私のセンスが無いということかしら…
と自信が崩れかけていた私に、響が質問を投げ掛けてきた。
「なぁ、奈都子はどうしてベージュを選んだんだ?」
「へ?……あぁ、それは安心感かな。保険の加入や見直しを考えるってことは何かしらの不安があったりする訳だし、まずは安心してもらいたくて。ご相談中も心穏やかに過ごしてほしいからね」
「あとは?」
「この椅子って背もたれと肘掛けに木が使われてていて、ベージュだと同系色で相性がいいし、温かみがあるのに夏場でも暑くない色味だからね」
「それから?」
「新しくできる窓口のオフィスってオフホワイトが基調でしょ?床はアイボリーの木目調で壁がクリームイエローとオフホワイトのバイカラーだから、ホワイトからベージュ系で明るめにまとめた方が全体的に落ち着くと思って。…これらの理由によりベージュが良いと判断しましたっ、以上っ」
真面目になりすぎないように、最後はあえてのお堅い言い方で、少し砕けた雰囲気を出してみた。
「ふ、なるほどね。…川嶋さんの知識は正しいと思うけど、ここは奈都子のホスピタリティが導き出したセンスでいいと俺は思うけどね」
「…そう…ですね……奈都子さん、出過ぎた真似をしてすみませんでした」
「いっ、いえいえ、そんなこと!…でも、川嶋さんが最初のコンセプトから見て下さっていたら、また違っていたかもしれませんね」
「ふ、奈都子らしいな」
「何が?」
「いや、何でも」