お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「あっら~桜賀、おっはよ~!…ま~ぁ、朝から女性を侍らせるとか、いい御身分、で、す、こ、と!」

背も高く体格のいい美人キツネ顔の葵の登場とその言い方に驚いたのか、川嶋さんが響の腕をさりげなく掴みながら陰に隠れた。

「キャッ!…え?…響さんのお知り合いですか…?」

「楢橋、おはよう。楢橋がいるってことは奈都子も一緒なんだろ?」

観葉植物に隠れながらこっそり見ていると、響は川嶋さんの手をさりげなく退かしながら、彼女の質問も聞こえていないかの如くスルーしていた。

「ええ、もちろんいるわよ?あそこに……あら?消えたわ」

「は?消えた?」

「いやね、さっきまで一緒にいたのよ?あ…もしかしたら、本社メンズにナンパされてるのかも。知ってた?あの子、可愛いわ性格いいわで意外に知名度あるのよね。さっき声かけてきた男、諦め悪かったからな~、また捕まってるのかも…」

「はぁ!?」

「ま、朝から女を侍らせてる『た、だ、の、ど、う、りょ、う』の桜賀には関係のないことですけど」

「な…」

「ところで研修会場はどちらかしら?」

「あっ、あぁ…第2会議室は8階だから、手前のエレベーターで上がってくれ。そこの3基ならどれでも上がれるから」

「あらそうなのね、サンキュー。じゃあナツコ探して本社メンズから取り返して行ってくるわ」

「あぁ…俺も副社長と後で行くから奈都子にも言っといて」

「ハイハ~イ、それじゃあね~」

なんて響に背中を向け、手をひらひらさせながら、ヒールを響かせたドヤ顔の葵がこっちに向かってきた。


「フフン、言ってやったわ。見た?あの桜賀の顔。ナンパされてるって言ったらビビってたわねー。ってかあの女。確かに容姿がいいのは認めるけど、桜賀の隣で〝私が彼女です〞みたいなツラしちゃってさ、あーもう腹立つ!…けど、ま、これで桜賀もこのままだとヤバいって気付くでしょ」

「うん…まぁ…」

「なによ、ナツコはあの女がベタベタしてるの、嫌じゃないの?」

「そりゃあすごく嫌だけど…でも響の立場を考えたらきっと無碍にもできないだろうしさ…」

「もー、ほんっとナツコはお人好しが過ぎるって!でもあの女、付け上がらせない方がいいわよ。なんか…只者じゃないかも」

「え…怖いこと言わないでよ…」

「ま、油断は禁物ってこと。…じゃ8階に行きますか!」

「そうだね、研修ガンバろ!」


葵はたまーに勘が当たる時があるから怖いんだよね…
うん、私も川嶋さんには油断しないように気を付けておこう。

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