お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
──私達5人は会社を出て近くのファミレスに入ると、響と私の関係を伏せている旨を説明した。

「そんなご事情があったんですね…わかりました。もちろん他言しませんのでご安心下さい!」
「私も誰にも言いませんよ!」
「もちろん私もです!」

「ありがとうございます。…すみません、初日から余計な気遣いをさせてしまうことになって…」

「いえ、それは全然です!むしろ聞かせて頂いて嬉しいというか」
「だよね。信頼して貰えてるって思うし、逆に事情を知ってる方が対応しやすいし」
「うんうん。私達が協力できることがあればいつでも力になりますから」

「みなさん……重ね重ねありがとうございます」

本当にありがたいのと申し訳ないのとで頭を下げると、上野さんが「ウフフッ」と笑って言った。

「でも、注意しないとバレるのも時間の問題かもしれないですよ?朝も桜賀さんから宝花さんへすごい愛情が滲み出てましたもん」

「へ…?」

すると相田さんが「それ!」と声をあげた。
「私も思ってたんですよ!桜賀さんの、宝花さんに対する眼差しがとても優しくて甘くて…きっと桜賀さんは宝花さんがお好きなんだろうな、って。でも彼氏さんなら納得です!」

「彼氏ってか婚約者なんだけどね」
私に断りもなく葵が言う。

「えっ!じゃあご結婚も近いってことですよね!私もなので嬉しいです!」

上野さんの言葉を皮切りに「結婚式、見に行きたいね!」「普段でこれだけ素敵なお二人のウェディング姿だもん、見たいよね!」と楽しそうに相田さんと今岡さんが言う。

「だってさ、ナツコ。これはもうやるっきゃないでしょ、結婚式」
「あはは……どうだろうね」

「えっ、結婚式しないんですか!?」

「んー…結婚式というか披露宴はしないかも。まだ話してもいないけどね」

「そうなんですか……でも、こればかりは当人の希望やご事情もありますしね」

と、さすがに人柄で選ばれし人材。
そういうところは深く追及せず、こちらの思いを配慮してくれている。

「では、もし披露宴をされる様なら覗きに行きます」
「人目に触れず」
「こっそりと」

ふふ、この三人は空気感が似ていて相性がいいのかも。

「披露宴をするなら、相田さんと今岡さんと上野さん、それに窓口の皆さんもご招待させてもらいたいです」

「えっ、それは嬉しいですけど…いいんですか?」

「もちろん。でも、するかどうかは…しない確率の方が高いけどね」

「いえ、それは気になさらないで下さい。私達を招待して下さるそのお気持ちが嬉しいです」
「だよねっ!」
「はい!」


今日初めて会ったのに、こんなに穏やかに打ち解けられるなんて、本当に社長と副社長は見る目があるなぁ。さすがです!彼女達を採用頂きありがとうございます!…とお二人に感謝しながら、花が咲いた女子トークはもう少し続いた。
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