お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
本社ビルには社員食堂が2か所あり、その一つが最上階にある『プリマヴェーラ』。
ここは社員食堂にしておくのがもったいないくらいの素敵なイタリアンレストラン。
メニューを見れば、リーズナブルなランチからリッチなものまで幅広い。
「すごいレストランだね…」
窓からの景色を眺めながら、ほう…と息が漏れた。
「俺、ここで食うの初めて。爽維さんは?」
「僕も初めてなんだよね。葵が誘ってくれなきゃきっと来ることはなかったな」
窓ぎわの2つのテーブルをくっつけた席で7人、おいしい料理と和やかに舞う会話を楽しみ、食後にコーヒーや紅茶を頂いていると、「響さんっ、ここにいたんですね、もぅ…探したんですよ」と川嶋さんがやって来た。
突然の川嶋さんの登場に、私の心臓は冷たい何かが流れたように鈍く震えた。
「…川嶋、名前で呼ぶなと言ったはずだが」
「あっ、ごめんなさい、お名前で呼ぶのは二人の時だけって約束したのに私ってば…」
「約束?何の話だ」
「覚えてないんですか?」
「そんな約束はしていない」
「嘘ですよ、ちゃんと約束しましたってば。皆さんの前だからって隠さなくていいじゃないですか」
「……それで、何か用か」
「あっ、そうでした!お母様が呼んでらっしゃいましたよ?」
「…『副社長』が?」
「やだ、私ったら。これも二人の時だけの約束でしたよね」
「…ハァ………分かった、副社長にはこっちから連絡する」
そんなやり取りを、葵は冷めた目で二人を見、爽維くんと相田さん達は落ち着かない様子でそれぞれ飲み物を口に運んでいた。
私は…
もちろん響を信じてる。
けど…
川嶋さんへの呼び方が「川嶋」と呼び捨てに変わっていたり、言い方に少し遠慮がなくなったことが逆に親しげで、不安が煽られているのも事実で…
すると、葵が少しイライラを抑えた声で、川嶋さん、と呼び掛けた。
「川嶋さん、悪いけどあたし達、大事な話してんのよね」
「あっ、そうだったんですね、ごめんなさい。…でもそれって桜賀先輩もいなきゃなんですか?」
「もちろんよ。桜賀にはあたしと彼の結婚式でアッシャーしてもらうんだから。ね?」
と隣の爽維くんを見やると、爽維くんは「えぇ」と頷いた。
「アッシャー?」
「ブライズメイドの男性版よ、正式にはグルームズマンて言うらしいけど。…ちな、ブライズメイドはナツコだから」
「でも何で桜賀先輩が?」
「それはこっちの都合だから、あなたにお話することではないわ。ねぇ、桜賀」
「あぁ。…あ、楢橋悪い、副社長から電話来たから少し席外す」
「はいは~い」
スマホを持ってレストランの入口に向かった響を目で見送っていると、川嶋さんが響が座っていた椅子に、当たり前のように腰を下ろした。
「あの、奈都子さんがブライズメイドってことは、桜賀先輩は奈都子さんとペアになるってことですか?」
「ペアっていうか、まぁブライズメイドとアッシャーだし、それなりのフォーマルを着てもらうわね」
葵がそう説明すると、川嶋さんが少し悲しそうな顔を見せた。
「…あの、桜賀先輩はハッキリ言いませんでしたけど、実は桜賀先輩…響さんは私の結婚相手なんです。だから、あまり他の女性とそういうコトされると困るっていうか」
ここは社員食堂にしておくのがもったいないくらいの素敵なイタリアンレストラン。
メニューを見れば、リーズナブルなランチからリッチなものまで幅広い。
「すごいレストランだね…」
窓からの景色を眺めながら、ほう…と息が漏れた。
「俺、ここで食うの初めて。爽維さんは?」
「僕も初めてなんだよね。葵が誘ってくれなきゃきっと来ることはなかったな」
窓ぎわの2つのテーブルをくっつけた席で7人、おいしい料理と和やかに舞う会話を楽しみ、食後にコーヒーや紅茶を頂いていると、「響さんっ、ここにいたんですね、もぅ…探したんですよ」と川嶋さんがやって来た。
突然の川嶋さんの登場に、私の心臓は冷たい何かが流れたように鈍く震えた。
「…川嶋、名前で呼ぶなと言ったはずだが」
「あっ、ごめんなさい、お名前で呼ぶのは二人の時だけって約束したのに私ってば…」
「約束?何の話だ」
「覚えてないんですか?」
「そんな約束はしていない」
「嘘ですよ、ちゃんと約束しましたってば。皆さんの前だからって隠さなくていいじゃないですか」
「……それで、何か用か」
「あっ、そうでした!お母様が呼んでらっしゃいましたよ?」
「…『副社長』が?」
「やだ、私ったら。これも二人の時だけの約束でしたよね」
「…ハァ………分かった、副社長にはこっちから連絡する」
そんなやり取りを、葵は冷めた目で二人を見、爽維くんと相田さん達は落ち着かない様子でそれぞれ飲み物を口に運んでいた。
私は…
もちろん響を信じてる。
けど…
川嶋さんへの呼び方が「川嶋」と呼び捨てに変わっていたり、言い方に少し遠慮がなくなったことが逆に親しげで、不安が煽られているのも事実で…
すると、葵が少しイライラを抑えた声で、川嶋さん、と呼び掛けた。
「川嶋さん、悪いけどあたし達、大事な話してんのよね」
「あっ、そうだったんですね、ごめんなさい。…でもそれって桜賀先輩もいなきゃなんですか?」
「もちろんよ。桜賀にはあたしと彼の結婚式でアッシャーしてもらうんだから。ね?」
と隣の爽維くんを見やると、爽維くんは「えぇ」と頷いた。
「アッシャー?」
「ブライズメイドの男性版よ、正式にはグルームズマンて言うらしいけど。…ちな、ブライズメイドはナツコだから」
「でも何で桜賀先輩が?」
「それはこっちの都合だから、あなたにお話することではないわ。ねぇ、桜賀」
「あぁ。…あ、楢橋悪い、副社長から電話来たから少し席外す」
「はいは~い」
スマホを持ってレストランの入口に向かった響を目で見送っていると、川嶋さんが響が座っていた椅子に、当たり前のように腰を下ろした。
「あの、奈都子さんがブライズメイドってことは、桜賀先輩は奈都子さんとペアになるってことですか?」
「ペアっていうか、まぁブライズメイドとアッシャーだし、それなりのフォーマルを着てもらうわね」
葵がそう説明すると、川嶋さんが少し悲しそうな顔を見せた。
「…あの、桜賀先輩はハッキリ言いませんでしたけど、実は桜賀先輩…響さんは私の結婚相手なんです。だから、あまり他の女性とそういうコトされると困るっていうか」