お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
…ふわわわ……

午前の研修が終わり、お昼休みに入った途端、大きなあくびが出た。
もちろん手で口元を隠してるけど、それは誰が見てもあくびをしていると分かる所作だ。

「ほんとナツコってオンオフをしっかり分けてるよね」
「そんなことないよ」
「ほんの1分前まですごいシャッキリしてたじゃない。けど今はコレよ?」
「あはは、そりゃあロープレ研修だもん、シャッキリしちゃうよ」
「そっか、それもそうね」


「ねえねえ、奈都子ちゃん、葵ちゃん」

葵といつもの会話をしていると、芝田さんがこちらにやって来た。

「お疲れ様です、芝田さん」

「ねえねえ二人とも、今日はお昼どうするの?」

「あたし達、5階の社食に行こうと思ってて」
葵が答えると、芝田さんの愛嬌のある福々しい顔がパァッと明るくなった。

「私達も行こうと思ってたのよお、5階の食堂!せっかくだから一緒に食べない?」

というお誘いに、葵も私も芝田さんにつられる様に満面の笑みで「食べます!」と返すと、他のスタッフ達も「なになに、社食行くの?」と話に食い付き、最終的に窓口スタッフ全員で行くことになった。


その5階は、社員食堂とリフレッシュルームが入るフロアになっている。

ちなみに〝社員食堂〞と呼んではいるが、ここは自前のお弁当やコンビニで買った食事などの持ち込みもOKなの。
というか、逆かな。
元々、お昼休憩を取る場所だったのだけど、お昼を買いに行けない人達のために、お部屋を拡張してうどんやご飯もの、ハンバーガー屋などのファストフードのお店を入れたそうだから。


「こっちはフードコートみたいなのにテーブルもゆったりなのがいいわねえ、メニューも食べ慣れてるものばかりだし」
「上のイタリアンのご馳走もたまにはいいけど、普段はこっちかしらね、おサイフ的に」
「あたし達パートのおばちゃんにはこっちがお似合いかもねー、アハハハ」


窓口オフィスのスタートアップメンバーは、芝田さんをはじめ支店出身のパート勤務が3人と、支店出身の社員が2人、相田さん達新人さんが3人、そして葵と私の10人。
まだ皆さんと顔を合わせて日は浅いけど、互いに協力できるメンバーだと肌で感じているんだ。
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