お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「んー!金曜日が終わった!疲れた!」
「あはは、おつかれ。今日は爽維くんと打ち合わせなんだよね」
「うん!帰りにご飯食べてくの、回るお寿司!」
「いいね、前に言ってたお店?」
「そう!」
「感想教えてね、よかったら私も行くし」
「もちもちオッケー!」

疲れたと言いながらも浮かれ気分で元気な葵に心の栄養をもらい、私はオフィスを後にした。


今日、響が来られるかは分からないけど、お掃除とか料理の準備はしておきたい。それなら、まずは買い物…っと、その前に夕飯の献立を決めないとね、なんて考えながら本社ビルのエントランスを出て5秒。

ビルの目の前の歩道にいた間宮くんを見つけ、ビクッと体がこわばった。


「お疲れ。ナツを待ってたんだ」

「お…疲れ様です」


びっくりした…
あれから何も言ってこなかったのに、何でここにいるの?

この状況を疑問というより不審に思っていると、間宮くんが笑みを浮かべて「ナツ、これから暇?」と聞いてきた。

「…暇じゃないです」

「何?飲み会とか?」

「いえ、家事や料理を…」

「なんだ、そんなの明日でいいじゃん、週末なんだし」

…イラッ。

「いえ、今日するので。失礼します」

間宮くんを避けて通り過ぎようとしたら、横からいきなりガバッと抱き締められた。

「ちょっ…何するの!離して!」
肘を左右に動かして抜け出そうとすると、私を囲う腕の力がグッと強くなった。

「…早くこの腕を解いてほしかったら、少しだけ付き合ってよ」

「は!?」

「飲み…じゃなくてもいいよ、そこのカフェでもいいからさ。…どう?僕はこのままでも構わないけど?」

…何…この人…!

「…わかった、行くから早く離して」

そう答えると、思いの外、すぐに離してくれた。
ホッ…よかった…

「残念だな、そんなに早く離れたかったの?」

「当たり前です」

「…誰かさんに見られたらマズい?」

「見られようが見られまいが関係なく嫌だからですけど」

「ふうん…まあいいや。じゃあ行こうか、ナツ」

「…やめて下さい」
歩き始めると間宮くんが私の腰に手を回してきたから、まっすぐに前を向いたまま即座にその手を払った。

「その強気なところもたまらないね、ナツ」

ニヤけながら言っているであろうその言葉にゾッとしつつ、それにはスルーした。

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