お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~

はぁ…
疲れた…

駅へ向かいながら、ため息をつく。


…いけないいけない。
やっと響に会えるっていうのに、こんなんじゃダメだ。

えっと、これから夕飯の買い物をするでしょ、それからお部屋の掃除をして…

それから…響の好きな肉野菜炒めを作って…


それから……


…………



響が来てくれるのに……

心の中はいろんな思いでぐっちゃぐちゃだ…



嬉しいのに…

不安で…


ぐっちゃぐちゃ…




だって、不安に思う材料はたくさんあるから。



川嶋さんは〝匂わせ〞どころか、響が結婚相手だと回りにも言い始めたし、それが本当だと言わんばかりに、忙しくしている響に甲斐甲斐しく世話を焼いている。

しかも、響は川嶋さんが何かを言う都度「やめろ」「違う」と反論するけど、それは、響がどういう人なのかを知らない人から見たら、ただの恋人同士の戯れの様にも見えてしまうんだもの。


それに…
響は川嶋さんについて何も言わないし…


この前、差し入れした時も…
妙にそっけなくて、すぐに目もそらされて…


毎日の数少ない短いメッセージにも…
『好き』とか、『会いたい』とか、そんな言葉もなくて…


嬉しいのに…

早く会いたいのに…



会うのが怖くて…

不安で…


ぐっちゃぐちゃだ…



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