お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
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さっきの電話から1時間近く経った頃、着信音が鳴り、バッとスマホを手に取った。

「もしもし?響?」
『あぁ、奈都子。…今送ったところなんだけど…』

と響が言ったその声の後ろから、『待って、行かないで、お願い』と徐々に大きくなる声が聞こえてきた。


…川嶋さんだ…

声とヒールの音の反響が残る感じは、お部屋の中ではないと思う…けど…

それでもまだ安心はできないと緊張しながらそのままスマホに耳をぴったりつけていると、川嶋さんの声が更に大きく聞こえてきた。

『響さん!…お願い、帰らないで!私を一人にしないで!…私…響さんが好きなの…!こんなに本気で好きになったの、響さんが初めてなの…!お願い…今夜は一緒にいて…響さん…』


それは…川嶋さんの告白…

でも響はちゃんと断ってくれるはず。


なのに…


『はぁ…仕方ないな…』


聞こえてきた言葉に驚きを隠せなかった。

え…?それって、どういう…意味?

ざわつく胸を押さえながらそう聞こうとした時、再度、はぁ…と息を吐く音がした直後、響が私の名前を呼んだ。

『奈都子…ごめん、俺、もう無理だから…川嶋に打ち明ける』

「…え?」

『奈都子に迷惑かけるかもしれないけど…もう我慢できないから…』

「そ…れって…?」

『ごめんな…あと今日はそっちに行けないと思う』

「あの……」

『ごめん、また連絡する』

「わ…かっ……た」


…そして通話が切れ、私はスマホをこたつ布団にぼとりと落とすと、今、何が起こっているのか何も考えられず、ただただ呆然とした。


…響は…川嶋さんを選ぶの…?

今日…川嶋さんと共に過ごすの…?


私じゃなくて……

川嶋さんと……


それから〝私は川嶋さんに負けたんだ〞と理解すると、堰を切ったように涙が溢れ出し、どれだけの時間が経ったのかも分からないほど、一人泣き続けた。


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