お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
未熟な恋人達
「……つこ……奈都子……奈都子」
う……ん………
まぶたが重い……目が開かない……
誰……
…え、響…?
うっすらと目を開けると、ぼやけてはいるが、ホッとした表情の響が見えた。
「奈都子、こたつで寝たら風邪ひくよ」
…そっか……昨日あれからいつの間にか寝ちゃってたんだ…
ていうか…私が風邪ひこうがどうなろうがもう響には関係ないでしょ…
と荒んだ気持ちのまま緩慢な動作でむくりと上半身を起こした。
壁掛け時計を見れば、針は7時45分を示している。
「…早いね…」
「あぁ、早い方がいいと思って荷物持ってきた」
「そう…ここで二人で住むの?」
「当たり前だろ?」
「そっか…いつから?」
「え?そんなの今日からに決まってるだろ?荷物持ってきたんだから」
「そう……」
そんなに早く川嶋さんと一緒になりたいんだ…
「わかった…でも、私も住むところを見つけないとだから…悪いけど今日明日で出ていくのは難しいよ…1か月…ううん2週間でもいいから少し時間をちょうだい」
寝起きでまだ頭がボケボケしつつも、もう現実を見なければいけないと思い、そう告げた。
のだけど…
「え?何で奈都子が出てくんだ?ここで暮らさないの?」
なんて響は酷いことを言う。
「…だって私がいたらお邪魔でしょ。…それとも…私を家事要員にでもする気?」
「は?家事要員?…何の話だ?」
「…だって…川嶋さんが来るんでしょ…」
「は?川嶋が来る?何で?」
「何でって……響、川嶋さんとここで暮らすんでしょ…?」
「は!? なんだよそれ、そんなバカな事があってたまるか」
「でも響は、私じゃなくて、川嶋さんを選んだんだよね?」
「はぁ!? 何でそうなる!? 俺は川嶋なんか選んでねぇぞ!?」
「だって響……『ごめん』って……『私に迷惑かける』って言ったじゃない……それって私と別れるからでしょ…?」
そう言うと、響は見たことのない位の驚きの表情を見せた。
「はぁああ!? ちょっ…マジでちょっと待って、意味わかんねぇっつうか、何の事か頭が追い付かねぇんだけど」
「それに…響…昨日は川嶋さんのお部屋に泊まってきたじゃない…」
「はぁ!? 待て待て待て待て、泊まってなんかねぇし、そもそも川嶋の部屋にだって入ってねぇから」
「…じゃあ……どういう事…?」
「どういう事も何も……何か話がこじれてるみたいだから、始めっから話そう。けど、そもそも何で奈都子は俺が川嶋を選んだと思ったんだ?」
「…何から言えばいいのか…たくさんあるし…」
「いいよ、全部言ってくれ。とにかく奈都子の思いを全部知りたいから」
「…わかった、それじゃ言う」
そして私は気に掛かっていたことを、包み隠さず響にぶつけた。